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Nさん「プーさんがほしいって言ってます」
わたし「え?プーさんってあれですか、くまのプーさん?」
Nさん「そう、プーさんがいいって言ってます。もしなければ猫がいいそうです」


自分自身より10歳以上若い女の子の後見人を引き受けているのですが、本人、精神科病院への入院が長引いています。
施設に入所しては短期間で暴力行為や器物損壊等のトラブルを引き起こし、すぐに病院に舞い戻ってしまうことのくりかえしで、本人が施設の鍵を故意にトイレに流し「幻聴が聞こえる」と訴え出したために、昨年5月から長期入院中です。
本人はまた施設に戻りたい希望を口にするようになっているものの、施設からは「次にトラブルを起こしたらもう受入ムリ」と釘をさされているため、病院側も退院にはかなり慎重になっているよう。

そんなわけで病院のワーカーのNさんから「本人がかわいいスリッパを欲しがってます」との電話をうけました。
確かに、本人は小学校のトイレで使うような地味な単色のビニールスリッパで日中を過ごしておりまして、まあ、あれはちょっとかわいそうかも。

本人が希望するスリッパ(ワーカーNさん談)
・色はピンク(でも赤はイヤ)
・プーさんの柄(なければ猫)
・できれば健康サンダルみたいに凸凹になっているやつ


・・・意外とない。3日間探し回ったけど、プーさんグッズって黄色か茶色しかねえよ(笑)。
結局あきらめてピンク地の黒猫のスリッパを購入して病院に持っていきました。

わたし「ごめんねMちゃん、探したんだけどプーさんのピンクのスリッパなかった」
ご本人「そーかー、プーさんないんかー」
わたし「プーさんはまた探しとくから。でもピンクのネコのスリッパはあったよ」


それから数ヶ月後、担当がかわったらしく、今度はワーカーのIさんから電話が。
Iさん「本人のスリッパが、だいぶんボロボロになってきているので、新しいスリッパを用意していただきたいのですが」

わたしは頑張って探したんだ。でも、ピンク地のくまのプーさんのスリッパなんてどこにもなかった。
STAP細胞だって結局再現できなかったってネイチャー誌に最近発表されたじゃないか。
だからピンク地のくまのプーさんのスリッパも存在しない。
あきらめてピンク地のキティちゃんのスリッパ(というか実は健康サンダルです。病棟内でしか履かないんだからこの際下履きも上履きも関係ないです)を購入しました。
これならピンクだしだし健康サンダルになってるし全部本人の希望に当てはまってるぢゃないか。というかこれで勘弁してくれ。

わたし「ごめんねMちゃん、探したんだけどやっぱりプーさんのピンクのスリッパ見つかんなかった」
ご本人「そーかー、プーさんないねー」
わたし「でもピンクのキティちゃんのスリッパはあったよ」
ご本人「キティちゃん!」

意外と本人の受けがよさそうだったので、ほっとしています。


わたしの事務所は、ある意味、今一番忙しい時期です。
確定申告。それも自分の確定申告ではない。
自分が抱える被後見人さん、被保佐人さん、被補助人さんたちの確定申告です。
自分の確定申告はまだ済んでません(笑)。
今年は計14名の被後見人さんたちの確定申告を、なんとか今日までに終わらせました。ふう。

よく、後見業務に取り組んでいる同業者から
「被後見人さんたちの確定申告はしてますか?どのくらい年金もらっている人ならしないといけないですか?」
と質問を受けるのですが、わたしは「年金の多寡にかかわらず、たとえ無年金であっても確定申告したほういいと思います」と回答しています。
もっとも、わたしも実際にすべての被後見人さんたちの確定申告をしたのは、今回がはじめてでしたが。

成年後見制度利用者は、圧倒的に認知症の高齢者が多いわけでして、たいていみなさん年金収入があります。現在、「確定申告不要制度」といって、公的年金による収入が400万円以下かつそれ以外の所得が20万円以下の人は、確定申告を行う必要がありません。
「年金400万円超の人」なんて伝説上の生物だろうと思えるくらい、たいていの年金受給者は確定申告不要という条件に当てはまってしまうわけです。
政府はその制度趣旨を年金受給者の確定申告の負担を減らすためと称していますが、こんなもの方便もはなはだしい。バカ正直に確定申告しないでいたら、もう機械的に最低限の所得控除しかうけられず、余分な所得税が年金から源泉されるやら、過度な住民税が課税されてくるやら、いいように税金をむしり取られることになりかねません。
また、あくまで「所得税の確定申告が不要になる」にすぎず、住民税の申告を免除する制度はありません。どのみち税金の申告はしないといけないのです。所得税の確定申告をすれば、住民税の申告もしたものとみなされるため(税務署から情報が横流しされて市町村が勝手に住民税の計算をしてくれます)、それだったら国税庁HPで割合簡単に申告書を作成することができる点から考えても、所得税の確定申告しちゃったほうが楽です。

加えて、被後見人さんたちは、諸々の所得からの控除がきくので、べらぼうな年金をもらっているのでなければ、たいてい非課税(源泉された所得税の還付)に持ち込めます。
まず、以前にもブログで書いたことがありますが、被後見人さんは「特別障害者」に該当するため、40万円の控除が受けられます。夫婦そろって認知症で要後見だったりすると、倍の80万円、さらに配偶者(老)控除48万円も加わってものすごい控除がききます。でも、成年後見制度利用者かどうかは、確定申告しないことには税務署にはわかりませんから、申告不要制度に安閑としていると特別障害者控除が受けられません。
それ以外にも、被後見人さんたちが特別養護老人ホームや介護老人保健施設に入所していたりすると、その費用のナンボかが医療費控除の対象となるので、病気で入院したわけでもないのにこれまた数十万円単位で医療費控除が受けられることになります。当然ながら確定申告しないと医療費控除は受けられません。

やっかいなのは、非課税の年金を受給している被後見人さんや、無年金(無収入)の被後見人さんです。
遺族年金や障害年金は、そもそも非課税扱いで、所得税がかかりません。ですので所得税の確定申告じたい、本来不要です。だって「所得がない」扱いなんですから。無年金の人もそうです。
でも、無収入の人であっても、住民税の申告義務はあります。所得ゼロならゼロという住民税の申告をしないといけないのです。
住民税の申告をしなければ、まあ住民税も非課税ということになるでしょうが(実際非課税もしくは無収入なんですから)、住民税の申告をしない場合、恐ろしいことに国民健康保険や介護保険、後期高齢者医療保険の保険料が、「所得がある人」扱いで賦課されてきます。
市町村からすれば、住民税の申告がないということは、必要な申告をサボっていることにすぎません。「所得がないから申告しない」のか「所得があるのに申告してこない」のか、市町村では判断がつかないのです。
それでも、公的年金の情報については市町村にも横流しされてくるので、確定申告や住民税の申告がなくても年金受給者については市町村も所得を把握できるようです。でも、障害年金や遺族年金は非課税なため、つまりハナから所得扱いされていないため、市町村はその情報をつかむことができないようです。
結果として、障害年金や遺族年金を受給している被後見人さんや無年金の被後見人さんに、結構な金額の保険料のがかかってきてビックリ仰天、あわてて市町村の窓口に走って所得の(正確には所得なしの)申告をしてくることであら不思議、保険料が8~9割減してほっと一息ということが過去に何度もあり、今年は非課税年金だろうが無年金だろうが、すべての被後見人さんについて確定申告をすることにしたのでした。
結局どっかの段階で所得の申告は必要なんですよ。

あ、例外的に生活保護受給中の被後見人さんについては確定申告不要だと思います。
だって市町村が勝手に所得を把握してますし、生活保護受給者は国民健康保険や後期高齢者医療保険からは外れますし、介護保険料も「生活保護受給者」ゆえに最初から最低限のランクに区分されていますから。
今日届いた郵便物のなかに、表に差出人の記載のない封筒が一通。封筒の裏面にはゴム判押しした住所と「××」(一応伏字にします)の認め印。
なんじゃこりゃ。差出人が誰かわからぬ異様な封筒に一瞬ギョッとしたものの、ゴム判押しされた住所を見てやっと気が付いた。あ、これ被後見人さんが入院している三河地方の某精神科病院からの郵送物だわ。
もしかすると、差出人に「××病院」と書いてしまうと、精神科病院から郵送物が届いたことが周囲にバレてトラブルになるかもしれない・・・という病院なりの配慮なのかもしれません。
別の被後見人さんが入院している一宮市内の某精神科病院は、普通に「○○病院」と印字された郵送物をわたしの事務所に送付してきますけどね。
そもそもわたしが精神を病んでいるわけでも、家族に患者がいるわけでもないので、わたしに対する細かい配慮など不要なのですが。
もっとも、最近は司法書士会の業務研修で「司法書士のためのメンタルヘルスケア」なんてものもあるくらいで、司法書士に限らず士業はストレスの大きい生業です。自分がいつまで精神に変調をきたさずにいられるかは正直わかりません。誰だ、「既にぶっ壊れているだろ」なんて言うヤツは。

ウルトラセブン第8話「狙われた街」で、人間の理性を失わせる結晶が仕組まれたタバコを吸って突如暴れだしたフルハシ隊員とソガ隊員を目の当たりにして、キリヤマ隊長が「まるで気違い病院だ」(不適切な表現なので地上波で再放送されるときはたいてい音声が途切れます)と吐き捨てるシーンがあるのですが、わたしも今年はじめて精神疾患の方の成年後見人をつとめることになるまでは、精神科病院には足を踏み入れたことがなく、漠然とこのウルトラセブンのワンシーンのイメージで精神科病院をとらえていました。
正直、司法書士なんかになっていなかったら、一生足を踏み入れることはなかったであろう場所です。
でも、被後見人さんとの面会のためにいざ精神科病院の閉鎖病棟に入ってみると、そこは意外なくらい秩序だった空間でした。
みなさん暴れまわるでなく、集会スペースでおとなしくテレビに見入っています。廊下を後ろ向きにまっすぐ歩いてくる患者さんにはさすがに驚きましたが。
たぶん、最重度の患者さんは、もっと病院内の奥深いところにいるのでしょう。
家族や支援者と面会ができる状態にある患者さんたちは、「ふつう」に受け答えできるかたたちばかりでした。

わたしたちのような(一応)「正常」とされている人々と、この入院患者さんたちの境目というのはいったいどこにあるのかなあ、と不思議な感覚に襲われます。
昔であれば「ちょっと個性的」とか「怠け者」とか「単なるワガママ」とか「要領が悪い」とか言われていただけのものが、今やあらゆる病気・障碍に分類されてしまう世の中です。
たぶん、この世界に「完全に正常」な人間なんか一人もいなくて、みんななにがしかの病気・障碍を持っているに違いない。生きづらさを引きづりながらもとりあえず周囲と折り合い生活できている人たちは一生病気・障碍に気が付くことなく、医者に診断されることがないゆえに正常とみなされているに過ぎんのだろうなあ。


2014.11.28 後見人走る
なにやら「助け人走る」みたいなタイトルですが。

最近ぜんぜん「司法書士」してないなあ、と自嘲しながら過ごす日々。
中山文十郎(演:田村高廣)の「俺はもう、侍じゃねえんだよ」の心境です。

朝から不動産の決済、ただし登記申請代理人司法書士としてではなく、不動産の売主たる成年被後見人Aさんの法定代理人として参加、とか、
それが終わったら成年被後見人Bさんが滞納している固定資産税の納税相談のために、名鉄電車に1時間半揺られて某町役場へ頭を下げに行って差押回避、とか、
その帰りの電車を途中下車して、成年被後見人Cさんの遺産分割調停の対象となっている某市内数か所に分散する不動産の現地調査で歩き回る、とか、
それを終えてようやく事務所に戻ってきたら、成年被後見人Dさんを原告として起こした裁判の被告代理人弁護士から事件の本質となんの関係もないことを否認ないし争う不毛な準備書面がFAXで届いていたために、仕事やってる時間がねえと嘆きながら原告準備書面を作成して夜中近くにようやく被告代理人と裁判所にFAX送信、とか。

これだけ動き回っていっぱい仕事をしたはずなのに、わたしの懐には1円の報酬も入ってきていないという(笑)。
まあ、仕事したといっても全部「成年後見人」としての仕事であって、「司法書士」としての業務はな~んもしていないわけですから、お金になっていないのは仕方ないことです。

唯一、準備書面をFAX送信してきた被告代理人弁護士さんだけがなぜか「司法書士としての品位を害する」「司法書士会に対し厳重に抗議する」とわたしの仕事を司法書士として評価(?)しているようですが(だからといってお金を払ってくれるわけではないけど)。
それにしても、わたくし、成年被後見人Dさんを原告とした裁判をDさんの成年後見人(法定代理人)として遂行しており、一切「司法書士」などと名乗っていなかったのですが、なんでわたしが司法書士も職業としていると被告代理人弁護士さんは考えたんでしょうね。事件と無関係に唐突に「この事直ちに帝に言上し、きっと公儀に掛け合うてくれる故、心しておじゃれ!」(一条三位 演:菅貫太郎)的な被告準備書面ですからねえ。ちょっと白塗りのスガカンの顔がちらついちゃったよ。







2014.09.13 辞退届
何かと世間で評判のよろしくない生活保護。
一部のよからぬ輩が不正受給をすることが問題なのですが、受給者の半数以上は、働けない高齢者です。
そしてそういう風に書くと、今度は若い頃に年金を払わなかった年寄りが悪いという声があがるのですが、これもちょっと一番大事な問題の本質からはずれる批判ですよ、というお話。
いや、年金を払わないヤツはもちろん悪いんですよ。


先日、生活保護の辞退届を書かせられました。10月1日で保護打ち切り。
…って別にわたしが生活保護を受けていたわけではないのですけどね。

新しく成年後見人を引き受けたご老人が生活保護受給者でした。
ご本人が認知症で金銭管理ができないため、これまでは某市役所の福祉課がやむなく通帳ごと金銭管理をしていたわけですが、ご本人は何に無駄遣いするわけでなく、勝手にお金がたまっていっていき、とうとう預金が百数十万円になってしまい(笑)、某市役所もこれ以上生活保護続けることができねえ、保護打ち切るから今後通帳管理もできねえ、ということでわたしが専門職後見人について財産管理を引き受けることになりました。

「先生、最低生活費の半分程度まで預金が減ったらまた福祉課に生活保護の再申請に来て下さい」
と某市役所の担当者にニッコリ言われ、
 “預金と年金で生活できるので生活保護を辞退します”
という辞退届にわたしが署名捺印するハメに。何ともイヤな役目だ。

どうせ2年もすれば預金を使い果たして、いずれまた生活保護のお世話にならんといけないことが分かっているんだから、市役所も何も百数十万円も預金をため込むまで放置せんと、適当なタイミングで63条返還させるなりして預金を減らして生活保護を継続してくれればよかったのに。
市役所の担当者にそこまで融通利かせろと求めるのは酷な話ではありますが。


ワタクシ、過去にも生活保護受給者の成年後見人を務めていたことはありますが、今度の被後見人さんはちょっと考えさせられます。
いや、ご本人はいたって穏やかなお婆さんで、徘徊癖があるとかそういう問題も今のところないのですが、ご本人、実はちゃんと年金収入があるのです。年額85万円くらいの。
つまり、ちゃんと年金保険料を払っていたのに、健康で文化的な最低限度の生活を送ることすらできない程度の年金しかもらえないのだ、というこの国の現実を、まざまざと見せつけられているのです。

これまでご本人、最低生活費から年金を差し引いた分を生活保護として受けていたわけなのですが、生活保護の恩恵は、たかだか「最低生活費との差額」などという小さなものではありません。
まず、生活保護受給者は、後期高齢者医療制度の被保険者から外れますので、当然その保険料がかかりません。
そして医療費も生活保護で直接病院に支払われるので、本人にとってはタダになります。
介護保険料は生活保護受給者も支払わなければなりませんが、なんと保険料は生活保護で支給されます。
わたしの被後見人さんは、年金を受給されているので、介護保険料は年金から天引きされていますが、天引き後の年金額をもとに最低生活費との差額が生活保護で支給されていますので、結局のところ介護保険料相当額が生活保護で支給されていることになります。
さらに、ヘルパーやデイサービス等を利用した場合の介護サービス費は1割が本人負担ですが、この自己負担分も生活保護で支給されますので、実質的に本人負担額はタダです。
そりゃ預金が百数十万円たまっちゃうよ(笑)。

今後、生活保護が打ち切られることで、後期高齢者医療保険料がかかるわ、医療費がかかるわ(あ、でも医療費は申請が通れば後期高齢者福祉医療費助成の対象になりそうだからダダで済みそう)、介護保険料も介護サービス費の自己負担分も収入と預金から払わんといかんわ。
介護保険料と介護サービス費の自己負担の上限額も、いままで生活保護受給者ということで一番負担が軽かったのが、生活保護打ち切りによってなんと2段階ランクアップ(笑)してしまい、支給されるはずの高額介護サービス費が月額3千円程度しかもらえなさそうだし。

つまり、生活保護受給中はゆるゆると預金が増える程度に収支がプラスだったのに、保護打ち切りによって単に月額2万円ほど収入が減っただけにとどまらず、支出が2万円ばかり増え、月額収支は4万円くらいマイナスになってしまうわけです。
裁判所から付与されるであろう成年後見人の報酬のことも織り込んで考えると、年間60万円くらい収支がマイナスになりそうです。どうがんばっても。
通常、成年後見人としてはいかに本人の預金の減り具合を抑えるかに知恵を絞るんですけど、こうなってしまうとケチるだけ悪あがきです。
はやいところ合法的に預金を減らして、さっさと生活保護再申請したほうがご本人のためという、ちょっとむなしい財産管理になりそう。

そしてこれが「自分の未来」の姿なのかもしれないと思うとね…。
国民年金と司法書士国民年金基金、掛金を払いきったとして、わたしが将来受け取れる年金も年額90万円ほどですよ(笑)。