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先日、愛知県および県内各市町村の行政職員さんたちを対象とした多重債務相談研修会の講師を務める機会があり、研修資料に使おうと最高裁判所が発表している司法統計のデータを集計していたのですが、客観的な数字は正直です。

申立件数の推移(司法統計より抜粋)
      個人破産     個人再生     特定調停
98年  108303件     *****     ******
99年  122741件     *****     ******
00年  139281件     *****     210785件
01年  160457件    *6210件    294426件
02年  214634件    13498件    416642件
03年  242376件    23612件    537015件
04年  211042件    26346件    381433件
05年  184422件    26048件    274771件
06年  165917件    26113件    260424件
07年  148276件    27672件    208310件
08年  129508件    24052件    102643件
09年  126265件    20731件    *55904件
10年  120930件    19113件    *28213件
11年  100509件    14261件    *11356件

参考までに2012年の司法統計も4月までのものが発表されています。
12年(1~4月)
個人破産申立件数 27158件(前年同月比△6695件)
個人再生申立件数  3479件(前年同月比△1596件)
特定調停申立件数  2298件(前年同月比△2882件)


さらに脱線気味ですが参考までに
某サラ金会社のれきし
91年 決算期の貸付残高 5630億円、ダンサーが激しく踊るテレビCM開始
96年 株式を店頭公開
98年 東証1部上場
02年 決算期の貸付残高 1兆7666億円、経団連加盟
09年 資金繰り悪化により新規の貸付停止
10年 会社更生手続申立、倒産


特に個人破産の申立件数と比べてみると、この会社の儲けがどこから吸い上げられていたのかが非常によくわかりますねえ。

それはさておき、改正貸金業法の成立時(06年12月)から、貸金業者寄りの国会議員さんなどからは常に「消費者金融利用者の半数はお金が借りられなくなって大変なことになる」「破産者が増える」「ヤミ金が増える」との声が挙がっていたのですが、改正貸金業法完全施行(10年6月)から2年が経過しようとしている今、客観的な数字として挙がってきているものはむしろ「多重債務問題は取り返しのつかなくなる寸でのところで危機的状況を脱した」と評価されるものばかりのように思えます。改正貸金業法はをおおむね順調に機能したといえるでしょう。

98年にはじめて年間10万件を記録して以来、ピーク時には24万件を数えた個人の自己破産申立件数は、遂に今年は10万件を割り込みそうです。
破産申立件数だけではなく、他の手続の申立件数も軒並み大幅に減少しており、しかも愛知県弁護士会・愛知県司法書士会の集計している相談事件数も多重債務関係のものは激減しています。さらに行政窓口での多重債務問題の相談件数も半減しているとのデータをいただいていますので、これはつまり「多重債務問題」そのものがピークを過ぎたのでしょう。
いわゆる総量規制によってお金が借りられなくなった債務者のうち、サラ金御用達国会議員さんの仰るところの「お金が借りられなくなって大変なことに」なるはずだった債務者の大多数は、適切に相談に訪れて「大変なこと」になる前に問題解決に結びついた。
あるいはまた、総量規制によってそれ以上借金を増やすことができなくなったために、「返済できる額の借金」にとどまったことによって、債務整理するまでもなく、「自転車操業によらない、身の丈に合った借金返済」をするようになった(つまり、収入の範囲内でなんとか返済できているのでわざわざ相談するまでもなくなった)のではないでしょうか。

サラ金御用達国会議員さんのもうひとつの主張「ヤミ金が増える」というのも、警察庁「平成23年中における生活経済事犯の検挙状況等について」をみる限り、客観的なデータとして消費生活センターへのヤミ金事件相談件数、ヤミ金検挙事件数、被害人員、被害額いずれも減少傾向にあり、他の弁護士さんや司法書士さんと話をしていても「ヤミ金事件が増えた」という声は全く聞かれません。
これは理由がハッキリしていて、ズバリ「ヤミ金は儲からない」。多くのヤミ金グループは、より安全でより儲かる振り込め詐欺にシフトしていってしまったのです。
もちろん、ヤミ金が完全になくなったわけではないので、今後とも取締は強化していくべきではありますが、「ヤミ金が増えると大変だからサラ金が高金利でカネを貸せるようにしろ」という主張はちょっと理解し難いなあ。

なお、現在、自民党の平将明衆議院議員が中心になって超党派による「『貸金業法改正』の影響と対策に関する勉強会」を立ち上げて改正貸金業法を文字通り台無しにする提言をまとめたり、民主党の桜井充参議院議員が座長になって改正貸金業法検討ワーキングチームを立ち上げたりしており(平議員も桜井議員も貸金業法改正に反対していた人たちです)、水面下で貸金業法はかな~りヤバい状況に追い込まれようとしているらしいです。
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