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2014.09.13 辞退届
何かと世間で評判のよろしくない生活保護。
一部のよからぬ輩が不正受給をすることが問題なのですが、受給者の半数以上は、働けない高齢者です。
そしてそういう風に書くと、今度は若い頃に年金を払わなかった年寄りが悪いという声があがるのですが、これもちょっと一番大事な問題の本質からはずれる批判ですよ、というお話。
いや、年金を払わないヤツはもちろん悪いんですよ。


先日、生活保護の辞退届を書かせられました。10月1日で保護打ち切り。
…って別にわたしが生活保護を受けていたわけではないのですけどね。

新しく成年後見人を引き受けたご老人が生活保護受給者でした。
ご本人が認知症で金銭管理ができないため、これまでは某市役所の福祉課がやむなく通帳ごと金銭管理をしていたわけですが、ご本人は何に無駄遣いするわけでなく、勝手にお金がたまっていっていき、とうとう預金が百数十万円になってしまい(笑)、某市役所もこれ以上生活保護続けることができねえ、保護打ち切るから今後通帳管理もできねえ、ということでわたしが専門職後見人について財産管理を引き受けることになりました。

「先生、最低生活費の半分程度まで預金が減ったらまた福祉課に生活保護の再申請に来て下さい」
と某市役所の担当者にニッコリ言われ、
 “預金と年金で生活できるので生活保護を辞退します”
という辞退届にわたしが署名捺印するハメに。何ともイヤな役目だ。

どうせ2年もすれば預金を使い果たして、いずれまた生活保護のお世話にならんといけないことが分かっているんだから、市役所も何も百数十万円も預金をため込むまで放置せんと、適当なタイミングで63条返還させるなりして預金を減らして生活保護を継続してくれればよかったのに。
市役所の担当者にそこまで融通利かせろと求めるのは酷な話ではありますが。


ワタクシ、過去にも生活保護受給者の成年後見人を務めていたことはありますが、今度の被後見人さんはちょっと考えさせられます。
いや、ご本人はいたって穏やかなお婆さんで、徘徊癖があるとかそういう問題も今のところないのですが、ご本人、実はちゃんと年金収入があるのです。年額85万円くらいの。
つまり、ちゃんと年金保険料を払っていたのに、健康で文化的な最低限度の生活を送ることすらできない程度の年金しかもらえないのだ、というこの国の現実を、まざまざと見せつけられているのです。

これまでご本人、最低生活費から年金を差し引いた分を生活保護として受けていたわけなのですが、生活保護の恩恵は、たかだか「最低生活費との差額」などという小さなものではありません。
まず、生活保護受給者は、後期高齢者医療制度の被保険者から外れますので、当然その保険料がかかりません。
そして医療費も生活保護で直接病院に支払われるので、本人にとってはタダになります。
介護保険料は生活保護受給者も支払わなければなりませんが、なんと保険料は生活保護で支給されます。
わたしの被後見人さんは、年金を受給されているので、介護保険料は年金から天引きされていますが、天引き後の年金額をもとに最低生活費との差額が生活保護で支給されていますので、結局のところ介護保険料相当額が生活保護で支給されていることになります。
さらに、ヘルパーやデイサービス等を利用した場合の介護サービス費は1割が本人負担ですが、この自己負担分も生活保護で支給されますので、実質的に本人負担額はタダです。
そりゃ預金が百数十万円たまっちゃうよ(笑)。

今後、生活保護が打ち切られることで、後期高齢者医療保険料がかかるわ、医療費がかかるわ(あ、でも医療費は申請が通れば後期高齢者福祉医療費助成の対象になりそうだからダダで済みそう)、介護保険料も介護サービス費の自己負担分も収入と預金から払わんといかんわ。
介護保険料と介護サービス費の自己負担の上限額も、いままで生活保護受給者ということで一番負担が軽かったのが、生活保護打ち切りによってなんと2段階ランクアップ(笑)してしまい、支給されるはずの高額介護サービス費が月額3千円程度しかもらえなさそうだし。

つまり、生活保護受給中はゆるゆると預金が増える程度に収支がプラスだったのに、保護打ち切りによって単に月額2万円ほど収入が減っただけにとどまらず、支出が2万円ばかり増え、月額収支は4万円くらいマイナスになってしまうわけです。
裁判所から付与されるであろう成年後見人の報酬のことも織り込んで考えると、年間60万円くらい収支がマイナスになりそうです。どうがんばっても。
通常、成年後見人としてはいかに本人の預金の減り具合を抑えるかに知恵を絞るんですけど、こうなってしまうとケチるだけ悪あがきです。
はやいところ合法的に預金を減らして、さっさと生活保護再申請したほうがご本人のためという、ちょっとむなしい財産管理になりそう。

そしてこれが「自分の未来」の姿なのかもしれないと思うとね…。
国民年金と司法書士国民年金基金、掛金を払いきったとして、わたしが将来受け取れる年金も年額90万円ほどですよ(笑)。