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野球用語(?)に「釣銭なし」というものがあります。

むかしむかし巨人の樋笠一夫という選手が、日本のプロ野球史上初の代打逆転満塁サヨナラホームランを放った際、これが9回裏0-3から放たれきっちり3点差をひっくり返して終わった珍記録であったことから「代打逆転満塁サヨナラ釣銭なしホームラン」と称されたのがはじまりだそうです。
これを越えるような長い名前のホームランは「代打逆転満塁サヨナラ釣銭なし優勝決定ホームラン」ぐらいしかない、というようなことがスポーツライター玉木正之の『プロ野球大事典』に半ばジョークとして書いてあったのを高校生のころに読んだのですが、その後近鉄バファローズの北川博敏が本当に「代打逆転満塁サヨナラ釣銭なし優勝決定ホームラン」を放ってしまった今となっては、これを越える長い名前のホームランは「代打逆転満塁サヨナラ釣銭なし優勝決定ランニングホームラン」くらいしかないのではないかとここ10年くらい考えております。もちろんこれを達成したプロ野球選手は現在のところ存在しません。

ここで死後事務です。
成年後見における死後事務とは、まあ成年被後見人さんがお亡くなりになったあとの諸々の雑事のことなのですが、本来、成年後見人が有する権限は、成年被後見人本人が死亡した瞬間消滅してしまい、そこから後は相続手続きとして成年被後見人の相続人が雑事を引き継ぐことになる…というのが大原則であり、タテマエなのですが、現実には成年被後見人と相続人との関係が疎遠であったり険悪であったり、場合によっては相続人が不存在であったり、その他諸々の事情で、やむなく成年後見人であった者が権限も定かでない中で本人の葬儀を手配したり施設利用料や医療費等の負債を支払ったりと奔走させられるのです。なにより病院やら施設やらお役所やらが、「死後事務も当然成年後見人の役目ですよね、早く責任をもってなんとかしてください」と思い込んでしまっているのが現状です。

本人の相続人が病院に来て本人を看取っているもかかわらず、真夜中に「成年後見人さん、はやくご本人のご遺体を引取りに来てください」などと病院から電話がかかってきた時には、ちょっとこの看護婦さん何言ってるのか意味分かんねえよと怒りに震えながら病院に駆けつけたものです。

先日、わたしが成年後見人を務めていた方で、生活保護を受給されていた成年被後見人さんがお亡くなりになりました。
相続人はいるのですがお金を出して本人の葬儀を開くことができる者が誰もおらず、本人の手元に残った財産もわずか。当然ながら成年後見人であったわたしが自腹を切ってまでして本人の葬儀を開く義務はありません。
やむなく朝一番で市役所の生活福祉課に電話をかけて民生葬のお願い。
相続人が動いてくれなければ、葬儀社の手配から死亡届から要介護認定更新申請の取下げから何から何まで、権限が無くても(死亡届の提出権限は成年後見人にもありますが)やらざるをえない。
病院と施設の未払費用を支払い、残った預貯金は全額市役所に返還させられ、民生葬にも立ち会って、やっとこさ死後事務に一区切りつけて、裁判所には財産もゼロ、負債もゼロ、いわば「釣銭なし」の後見事務終了報告書を提出してようやく一息ついたという状況です。
この事例の場合、「釣銭なし」なので、相続人に財産を引き継ぐ必要がありません。これがびっくりするくらい気が楽です。死後事務で一番神経をすり減らすのは、実は相続人への財産引継だったのだということを再認識させられました。

え?財産が残らなきゃ成年後見人はタダ働きじゃないかって?
どうでしょうね、裁判所には報酬付与の申立はしてます。
さすがにプロの法律実務家をタダ働きさせるようなことはないですよね、アテにしてますよ市役所さん(ちょっと懇願)。
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