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「ではその点に関する上申書を提出してください」
裁判関連の仕事をしていると、裁判所書記官からしょっちゅうこのように言われます。
こうもサラリと「上申書」などと言われると、一瞬「貴方何様のつもりなの?」と思ってしまうのですが、まあ「御上」のつもりなんだろうな、なにせ相手は裁判所だもの。

上申書・・・ジョウシンショ・・・つまり「下々のもの」が「御上」に対して書面をもって言上奉るわけです。
「畏れながらお奉行様に申し上げ奉りまする」の世界です。

司法書士の業務のなかに、裁判所へ提出する書類の作成というものがあります。
裁判所に提出する書類、わかりやすいものだと「訴状」とか「破産手続開始申立書」などがあります。裁判所に対して何かアクションを起こす場合には、法律に根拠のある書面を提出することで行なうわけですが、実務では法律に根拠はなくとも裁判手続中に裁判所に伝えたい内容があれば、これを書面にしたためて「上申書」として随時提出することがあります。

例えば「相続財産管理人選任申立書」の作成の依頼を受けた際のこと。
相続財産管理人選任申立にあたっては、家庭裁判所から申立人に対して予納金を数十万円支払うよう命じられることがあります。
相続財産管理人は基本的には適当な弁護士さんが選任されるのですが、ようは管理人を務める弁護士さんが万一にもタダ働きにならないよう、その報酬を担保するために申立人にまとまった金額を事前に納めさせようとするわけです。もっとも、十分な相続財産がある場合は、管理人の報酬は相続財産から賄われ、予納金はあとで申立人に返却されることになるので、必ずしも申立人が損をするというわけではないのですが、それでも申立段階で多額の予納金を命じられるのは一般庶民にとっては結構な負担です。「御上」には想像もつかないかもしれませんが。
わたしの依頼者は、被相続人の葬儀代を全額自費で立替えていたので、そのうえ予納金まで支払わされてはたまったもんではないのです。
そこで「相続財産管理人選任申立書」といっしょに予納金免除を願い出る内容の「上申書」も作成して提出したところ、果たして家庭裁判所からわたしの事務所に問い合わせの電話がかかってきました。

「林先生が書類作成を担当された○○さんの相続財産管理人選任申立の上申書の件ですが…」
いきなりきたっ、カネならないぞ!
「官報掲載料を4000円ほど予納していただきたいんですが、これも難しいでしょうか?」
おもいっきり拍子抜け。
払います、ハイ。


わたしが成年後見人を務めていた後見業務のひとつが、被後見人ご本人さんの死亡により先日終了しました。
親族後見人に問題があり、途中からわたしが専門職後見人に就任した案件でしたが、わたしの目から見れば、はじめから親族後見人を選任してはいけない、つまり裁判所に重大なミスがあった案件でした。
後見事務終了報告書を一枚提出しておしまいにするのはちょっと納得がいかず、気がつけば管轄裁判所を糾弾する内容の「上申書」を書きなぐっていました。
が、「上申書」をプリントアウトして事務終了報告書や財産目録に同封して…いるうちに冷静になり、結局この「上申書」は破棄しました。
「御上」に「下々のもの」の想いなど伝わるもんか。

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