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さて、18日の金曜日、名古屋にある愛知県司法書士会館にて、公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート愛知支部の執行部会議に出席していまして(一応支部役員なんです)、ちょうどわたしから会計報告をしている最中のこと。

突然、愛知県司法書士会の専務理事と副会長が連れ立って現れ、
「えー、たったいまテレビで報道されたところなのですが、当会(愛知県司法書士会)に所属していた元司法書士が、成年被後見人の財産を横領した罪で在宅起訴され、会長コメントを出したところです。当該元司法書士はリーガルサポート所属ではなかったので、皆様には直接は関係ございませんが、今後マスコミ等から問い合わせがあるやもしれません。ご迷惑をおかけします。」

うわあ、誰のことだよ馬鹿野郎と思い、隣に座っていた役員のタブレットを覗き込んだところ、ちょっとだけ面識のあった元司法書士でした。


6600万円横領で成年後見人の元司法書士起訴(中日新聞)


ウエハラさん、遊び慣れていて羽振りよさげに見えましたよ。
二代目だから金持ってるんだろうなぁぐらいにしか考えていなかったけど。

この手の「遊び慣れオーラ全開の人」はわたしは苦手なのですが、何故か司法書士特別研修のチューターをウエハラさんとわたしが同時期に務めたりしたことがしばしばありました。
それである年の特別研修の準備段階のこと、唐突に「ウエハラさんは親族の会社を継ぐことになったので司法書士会を退会します」との情報が入りまして、
「え?あの人二代目なのに司法書士辞めちゃうの?親父の事務所は引き継がないの?」
とビックリした記憶があります。
今思えばそういうことだったのね。
よくもまあ人様の財産使い込んで飲み食いしてブクブク肥ることができたもんだ、この外道が。




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名古屋のグループホームに住む成年被後見人Jさんとの面会は、毎月K市にある「作業所」で行なっています。

「作業所」、正確には「就労継続支援B型事業所」というそうで、さらにいえば「生活介護事業所」「就労移行支援事業所」「相談支援事業所」でもあるそうなのですが、とにかくJさんほか利用者の皆さんは、日中そこで、「カットされたカボチャの切り身から種やわたを取り除く作業」を延々とこなしているわけです。

毎日毎日、単純作業をこなして、Jさんが手にする工賃は一か月あたり4000円程度。えっ。
知的障害者のかたの成年後見人を務めるようになって、最初に驚かされたのがこの「作業所の工賃」の額です。
一か月働いて月収数千円ってどういうことやねん、最低賃金に思いっきり違反しとるやん、と思ったのですが、「就労継続支援B型事業所」というのは、雇用契約に基づく就労が困難な人に対する支援事業をおこなっているのであり、事業所と利用者との間には雇用関係はないため、工賃が最低賃金未満であっても違法ではないのです。「カットされたカボチャの切り身から種やわたを取り除く作業」は雇用に基づく労働ではなく、社会性を身に着ける訓練であり、支払われる工賃は本当に手間賃に過ぎないとのこと(なお、「就労継続支援A型事業所」というのもあり、こちらは利用者との雇用契約の伴う支援事業なので、利用者は最低賃金以上の工賃を手にすることができます)。

事業所の利用者は知的障害等をかかえているため生産性は低く、作業も単純作業が多く(ようは儲かる仕事ではない)、売上は利用者全員で分配するため一人あたりの工賃は月額数千円程度になってしまうのです。

実は内心、「まるで奴隷契約だな」などと思っていたのですが、先日、Jさんとの面会のために「作業所」を訪れたところ、いつもは入口の車庫で利用者さん達が集団でにぎやかにカボチャのくりぬき作業をしているはずが、なぜかその日は人影がありませんでした。
あれ、面会日を間違えたか?作業所お休みだっけ?などと思いながらも、「こんにちは、お世話になります、司法書士のはやしです」と建物内に入っていき、事業所の責任者さんに対し軽い気持ちで「いやあ、今日は誰もカボチャのくりぬきをされてないんで面会日間違えたかと思いましたよ」などと話しかけたところ、「ええ、ここ3日ほどカボチャが入ってこなくてねえ」との返答の後、「林先生、あのカボチャ、うちの作業所で種取り除いてどこに出荷されると思います?」
わたし「さあ?」
責任者「●●●●(某うどんチェーン)とかあるでしょ、あそこのカボチャの天ぷらになるんですよ」
わたし「へえ、そうだったんですか」
責任者「でも、表には出せないんですよ、こういう作業所から出荷してるというのは。偏見があるから」
わたし「はあ」
責任者「ほかの事業所だと野菜を作って●●●(某大手スーパー)とかに出荷してるところもあるけれど、どんなにいい野菜を栽培していても、パッケージに生産者の顔写真を載せられないんです。でも仕方がない」
わたし「えー」
責任者「利用者さん達の工賃、上げたくても安く買い叩かれるから、これが限界なんですよ」


「まるで奴隷契約だな」って、別に「作業所」が利用者を奴隷扱いしてるんじゃない。
障害者が作ったものを安く買い叩く世間が奴隷扱いしてるんだよ。


Jさんとの面会では、毎回責任者さんと相談員さんにも同席してもらっていますが、「Jさん、お小遣い足りてる?何か欲しいものない?」との問いかけに対し、
Jさん「CDがほしい!」
責任者「何のCDが欲しいの?」
Jさん「モー娘。!
相談員「林先生、大丈夫です、ブックオフとかで昔のモー娘。のCDが安く大量に買えますから、Jさんのお小遣いで足ります」
Iさん「サイズが合わなくなってきているものですから」
わたし「はあ。どんなやつ買ってこればいいですか」
Iさん「Mちゃんかわいいのがいいって言ってます」
わたし「はあ(いやだから、具体的にどういう風のがいいのよ・・・)」


精神科病院の閉鎖病棟に入院中の被後見人の女の子Mちゃんですが、入院が長期におよんでいるために衣類が古くなったりサイズが合わなくなったりで、だんだんと病院ワーカーのIさんから後見人に対する要望がきつくなってきてしまいました。もはや「スリッパ買ってこいや」レベルじゃすまない。

わたし「それで何がどれだけいりますか」(出先でメモ)
Iさん「えーとですねえ、バスタオルが2枚と、フェイスタオルが3枚、スエットのズボンが3本」
わたし「はいはい」(メモメモ)
Iさん「長袖のTシャツが3枚、トレーナー3枚」
わたし「え、ちょ、ちょっと随分必要なものが・・・」(メモしきれない)
Iさん「あと下着のシャツ、タンクトップみたいなのじゃなくて半袖のやつを3枚」
わたし「え、え、下着も?」
Iさん「それとパンツ3枚」
わたし「パンツもですか!?」
Iさん「それで、Mさんのスリーサイズですが・・・」


ちょっと個性的なスリーサイズだったので、実店舗に買いにいく勇気はわたしにはありませんでした。特に下着類。
タオル類は事務所の近くのアピタで買いましたが、それ以外の衣類・下着類はもう割り切ってヤフーショッピングとアマゾンでネット注文よ!

で、その結果どうなるかというとですね、アマゾンから女物下着とか女物衣類の「あなたにおすすめの商品」メールが頻繁に届くようになるわけですよ。さらに事務所PCをネットに繋げば、ヤフーショッピングからもあなたへのおすすめ商品として女物下着とか女物衣類があちこちに勝手に表示されるとか。勘弁してくれ。

そういう恥ずかしい思いをしながら、なんとかMちゃん本人に喜んでもらえるよう、本人の好きな色やらキャラクターものやら取り揃えた衣類一式もって、病院まで面会に行ってきましたよ、ええ。

わたし「ほらこのトレーナー、トトロになっているから可愛いと思うよ」
Mちゃん「着れるかな、着れるかなっ」(ちょっと興奮気味)
Iさん「今日はファッションショーだねー」



そして10日ほどたったある日、病院ワーカーIさんから電話が。
Iさん「先生、先日はどうもありがとうございました。それで実はですね・・・」
わたし「はい?」
Iさん「せっかく買ってきていただいたトレーナーなんですが、実はサイズが合わなくて・・・」
わたし「ええッあれで着れなかったんですか!?

きっと病院のご飯がおいしいんだ。たぶん。


結局、改めて3LサイズのトレーナーとTシャツを買い直して、病院まで持っていきましたけど、このサイズになっちゃうと「かわいい」ものはなかなかないですね。せいぜい本人の好きなピンクと紫色のものを見繕うが精一杯。


「こんにちわー、市役所のかたですか?」

Mちゃんとの面談を終えて、閉鎖病棟の面会室を出たところで、若いというかまだあどけなさの残る女の子に呼び止められました。
はっきりとした口調で声をかけられたので、一瞬、新しく入ったワーカーさんなのかと思いましたが、ラフな格好から患者さんだと気が付きました。
女の子「こんにちわー」
わたし「・・・? こんにちわ」
女の子「こんにちわー、市役所のかたですか?」
わたし「いや、わたしは市役所のひとじゃないですよ?」
女の子「そうですかー、市役所のかたじゃないんですか・・・」

なぜか江國香織の「緑の猫」という小説がわたしの頭の中をよぎりました。





重なった。
被後見人Aさんの転居と、被後見人Bさんの入院が重なった。
さらに新たに2名のおばあさんの後見人に就任するのも重なった。

明日12月28日は役所の御用納めなので、①在宅の被後見人Cさんとの面会が終わったら、②稲沢市の高齢者向賃貸住宅からあま市の老健に転居した被後見人Aさんの転出届+③転入届で市役所をぐるりとまわって、④新たに後見人に就任したDさんの案件で年金事務所に後見人の届出と紛失した年金証書の再発行手続をするつもり・・・だったのですが。

被後見人Bさんが体調不良で急遽明日入院することとなってしまいました。
「親族だれもいないから後見人さんが同行してください、手続で半日つぶれますから」などと施設のお医者さんに宣告され、
「いや、28日は役所の御用納めなので夕方以降でないとワタシ病院にいけないのですが」などと言ってみてもとりあってもらえず。
お医者「28日に入院しないと年末年始は救急搬送しか受け入れてもらえなくなるから。午前中に病院に搬送になりすから後見人さんお願いします」
わたし「うう・・・じゃあお昼頃にはなんとか一宮に戻ってこられるようにします」

明日は大幅に予定変更。①朝イチで稲沢市役所でAさんの転出届②Cさんと面会(家賃の支払いやら生活費を渡さないといけないので絶対に外せない)③一宮の某病院に直行、そのまま夕方近くまで拘束で一日潰れる見込み。
Aさんの転入届は来年の御用始めまでお預けだ、すまぬ、すまぬ。
人間ひとりの命の危険にはかえられないのよ。
しかしなんでよりによって御用納めの時期に集中しちまうんだろうな、ほんとに。

いままでなんとか一人で事務所を切り盛りしてきましたが、いい加減限界かもね。
2015.10.13 中間監査終了
年に二回、本業そっちのけ、というか事務所の仕事を1週間ほどストップしてあたらねばならんことがあります。

何の因果か(こんな経緯です)、「公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート」という全国規模の公益法人の、そのまた愛知支部の会計をここ5年ほどわたし一人で受け持っておりまして。

リーガルサポート愛知支部は、所属支部会員約350名・予算規模約1500万円という、やや大きめの支部なのですが、10月半ばまでに9月末〆の中間決算関連書類、4月半ばまでに3月末〆の決算書類をリーガルサポート本部に送付せねばならず、これが結構な事務負担です。しかも年々本部から求められる提出書類の量が増えていくという。
はっきり言う。こんな作業一人でできるかボケが!
とカリカリしながらもなんとか一人で愛知支部の帳簿を作り、金銭管理をし、会費の督促をし、決算書をまとめています。
そのために毎年10月と4月は最初の1週間がほぼ事務所機能がマヒ。でも負けないんだから!

このあいだ、愛知県司法書士会の経理部所属の某司法書士から
「林先生、リーガルサポートの支部会計ひとりでやってるってウソですよね、あの規模だと一人ではとても無理だろ、と経理部で話してたんですけど」
などと話しかけられ、どうやら自分はとてつもなく割に合わないことをやらされているらしい、ということに気が付きました。

27年度中間監査

本日、無事に愛知支部の平成27年度中間監査終了。
これで半年間は苦役を免れることができます。